緑の砂漠とは?

 

日本の森林の”いま”を表す標語


『緑の砂漠』という言葉は、現在の日本の森林が抱える課題を表しています。 日本は国土の3分の2を森林が占める森林大国です。そのうちの約40%は戦後に住宅用の柱材として人工的に植えられたスギやヒノキなどの針葉樹林です。 郊外に出かけると、そういった針葉樹林がすぐに見つけられます。遠目から見ると緑豊かな森に映りますが、近づいてみると放置された人工林であることが少なくありません。

放置林をよく観察してみると、木の幹は痩せていたり、曲がっていたり、とても柱材として使えないものばかりです。森に一歩足を踏み入れて見ると、暗く、静かで、小鳥や動物の気配もありません。きちんと手入れがされていない森の上部では、上葉や枝が密に詰まっていて、日差しを遮断しています。光が届かない地面には下草が生えず、土が露出し、木の根がむき出しになってしまいます。森が本来持っている治山・治水機能も失われ、生物多様性が非常に乏しくなった状態になっているのです。 このような現象を『緑の砂漠』と呼びます。

人工林の健全な生育のためには、間伐や下刈りなどの手入れが必要です。しかしながら、その仕事は十分な収入源にならないため、手入れがなされず放置された人工林が増え続け、昨今問題となっています。

 

『緑の砂漠』ボードゲームプロジェクト


『緑の砂漠』ボードゲームは、放置された人工林を多様性豊かな森に再生する体験ができる遊びと学びのツールです。

このボードゲームプロジェクトには、ボードゲームという体験の媒体を通じてたくさんの人に日本の森林の現状を伝え、さらに森林再生と里山保全の活動を応援するという思いが込められています。

もともと、私たち日本人にとって、森林はもっと身近な存在でした。里山という言葉に象徴されるように、森林は遊びの場であると同時に、豊かな食物、多様な生き物を育む自然と調和して人々は暮らしていました。都会で暮らしていると、森林・里山の存在を忘れてしまいがちです。それでも、私たちの心には、失われることのない森林への愛情が眠っているのではないでしょうか。

『緑の砂漠』ボードゲームでは、針葉樹林を間伐し、広葉樹を植樹し、森林が生物多様性を取り戻していく過程を遊びを通じて体験することできます。プレイヤーは森林に携わる職業に就いて、森林に入り、仕事をします。最初は、真っ暗な人工林ですが、間伐や植樹をすることで徐々にひらけていきます。森の再生が進むにつれて、リスやシカなどの動物たちが森に帰ってきます。最後には、色とりどりで生態系豊かな森ができあがり、その喜びを感じることができるでしょう。

緑の砂漠制作委員会は、ボードゲームを通じて、教育機関での教材提供、森林保全活動団体の支援、企業のCSR活動の支援、ボードゲームの材料への間伐材の活用など、さまざまな取り組みを計画、推進していきます。